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ジェニングス著 『エピソード魔法の歴史 黒魔術と白魔術』この本は、魔術についての本です。でも、魔術を行なうハウ・ツゥー本ではありません。“魔術の名のもとに”行なわれたであろう事実を書いている本です。なので、あくまで、常識的な意味での「事実」によって魔術・魔法という現象を説明していきます。著者の魔術・魔法への基本的態度は以下の様なものです。 どういう魔術であれ(占星術師の能力にせよ四つ葉のクローバーがもたらす好運にせよ)それは人々を進歩の道から外し、迷信の袋小路にはまりこませた。そのおかげで人々は苦しみ、また奴隷状態におちいってきたのである。魔術が進歩の途上につまずきの石を投げたおかげで、近代文明は当然の日程から何世紀も遅れることになったと思われる。そして、私たちの世界には今なお、長い年月を経た迷信のしみとよごれが多く残っているのである。その一方で、魔術を生み出した愚かさと空想力は芸術・詩・文学・音楽・伝説などのすばらしい作品を創造しもしたのだ。 (1990年03月) 社会思想社 1979 |