清水一行著 『欲望集団』
清水氏の『欲望集団』は犯罪者視点での作品(主人公は詐欺師グループである)。
アヒモノフ号の財宝の引き挙げという話をもとに、大物政商から金を引きだしたはいいが、いかに話を仕舞いにするか。リーダーの犬塚独りが引き時であることを主張しても、グループのメンバーの思惑は違う。簡単な儲け話に目がくらんで……。
人を如何に騙すのか。騙される側も黙って騙されているわけではない。そこに緊迫感が生まれ、ドラマになる。読み応えのある作品である。
(1993年06月)
角川書店文庫
1993