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新谷行著 『増補アイヌ民族抵抗史』アイヌと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?よく聞くわりには、その歴史はほとんど知られていないと思います。特にアイヌ民族とヤマト民族の交渉史はほとんど意識されていないでしょう。たとえば坂上田村麿の蝦夷征伐は大和朝廷の日本統一という文脈に位置づけられていますが、アイヌ民族(当時は東北地方はアイヌ民族の土地であった)からみれば完全な侵略戦争であり、しかも協定破りやだましうちなど侵略者に共通するやり口で征服していく歴史であるわけです。この本は日本の歴史、特にアイヌ民族とヤマト民族の交渉史をアイヌ民族の視点から書いています。ところどころ文章が感情的になっていたりして読みにくいのですが一読の価値はあります。 (1990年02月) 三一書房 1977刊 |