ぴゃんの本棚



カップの中の羊歯(Paul Bassett



フェツラー,フィールド共著 『グッドガール・コンプレックス』

この本の主題は、女性が〈自分らしい生きかたをするように変わる〉こと。
著者はアメリカの臨床心理学者で、プロローグを読めば、どんな本なのかはっきりする。

男性に『いい女』だと言われたくて自分を犠牲にし、その結果、大きな問題に直面している女性が大勢います。『グッドガール・コンプレックス』にかかった人とでも言いましょうか? 得をしているのは、男性です。

(前略)根こそそぎにしなければならないのは、いい女だと認めてもらおうとする女性自身の意識なのです。

問題はいろいろな形をとっていますが、煮つめれば同じところに行きつきます。すなわち女の人たちが、まわりの期待に応えられなければ、わたしは駄目だと感じている、ということです。

あなたはまったく新しい一人の人間として、力強く育ちゆく存在となり、自分を評価する基準や独自のルールを自分でつくる人になれます。

(前略)まず、行動のしかたを変えて、生きる姿勢が変ることを期待するものです。例えば、自分を主張すれば、自信がつきます。自分でルールを決めれば、自立心が強まります。

人間はふつう、…(中略)…いい気分になるのに必要なことを正しく実行しないうちに、いい気分になりたいと思ってしまっているのです。

『最初に行動を起こそう。健康な自分のイメージはそのあとに生れる』というのがわたしたちの主張です。じっと待つのはやめて、いますぐ行動を開始しましょう。どうすればいいかは、わたしたちがお教えします。
     ◇

実は、これらの主題は、女性には限らない。たとえば「いい女」を「良い子」、「女性」「女の人」を「子供」にしてみる。

親に『良い子』だと言われたくて自分を犠牲にし、その結果、大きな問題に直面している子供が大勢います。

(前略)根こそそぎにしなければならないのは、良い子だと認めてもらおうとする子供自身の意識なのです。

問題はいろいろな形をとっていますが、煮つめれば同じところに行きつきます。すなわち子供たちが、まわりの期待に応えられなければ、わたしは駄目だと感じている、ということです。

違和感のない文が並ぶ。

自分を評価する基準をつくるのが〈自分以外の人〉であり、自分のルールを〈自分以外の人〉が決め、自分の不満を我慢して〈自分以外の人〉に合わせていれば、いつかは壊れて当然だ。加藤諦三著『人生の悲劇は「よい子」に始まる』では、こんなふうに書かれている。

「よい子」というのは「親から見捨てられることに対する恐怖」ゆえに「自分の本性を裏切る」ことを身につけてしまった子どもである。

壊れてしまった「よい子」は、たくさんいるのだろう。

     ◇

この本を読めば変われるのだろうか? この本であれ、どの本であれ、本は道標にはなる。しかし、道標は道標。自分の足で歩かない限り、目的地には到達しない。

道標には、良い道標と悪い道標の違いはある。この本は、良い道標ではあると思う。


(1990年05月に書き2013年08月に直した)


三笠書房
1990


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