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カップの中の羊歯(Paul Bassett



樋口恵子・斎藤茂男・板本洋子編 『花婿学校・いい男になるための10章』

 「この本は“いい男になるための基礎講座”と銘打って、一九八九年秋、東京で呱々の声をあげた『花婿学校』の全記録であ」り、10回の授業の内容を講師自身がまとめたものを収録してある。

 各回(各章)のタイトルと講師を列挙しよう。

 1章 女が変わる世界が変わる (樋口恵子)
 2章 女性抑圧の構造 (田嶋陽子)
 3章 愛という名の悲劇 (駒尺喜美)
 4章 女たちはこんなSEXを求めている (丸本百合子・小形櫻子・斎藤茂男)
 5章 職場の男女関係 (鹿嶋敬)
 6章 結婚にまつわる七つの幻想 (岡堂哲雄)
 7章 あなたは優しくて臆病なの? (平木典子)
 8章 家族の戦後史とライフ・サイクル (田村健二)
 9章 結婚戦争サバイバル作戦 (上野千鶴子)
10章 結婚相談所から見たゴールイン必勝学 (板本洋子)

 各章の内容をいちいち紹介していては長くなるので、全体を貫いていると感じたものを述べましょう。

 ひとつは女性をめぐる現実(女性を抑圧する社会構造や女性の意識、それらの最近の変化)といったものを男性に知ってもらおうという意図です。この背後には女性問題は男性問題であるという認識があり、問題を女性の問題を解決していくには男性の問題も同時に解決しないとできないという意識があるようです。

 もう一つは、ひとつめと関係するのだが、女性の意識と男性の意識の(現時点での)ギャップを少しでも埋めようということです。
 女性の変化に男性が気づかず従来のままの関係にしがみついていること自体が問題であり、それが女性の方が元に戻ることがない以上(それは従来の抑圧被抑圧の関係だから)男性が変化しなくてはならない、そしてそうした変化は男性にとってもより人間的に生きることを可能にするはずだ、というわけです。

 最後にあげるたいのは、神話の打破です。結婚や家庭をめぐる神話をデータをもとに説明し正体を明かにし、打破しようということがあります。

 この本は男性だけでなく、女性に(特に)読んで欲しいと思います。


(1990年10月に書く)

三省堂
1990


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