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氷室冴子著 『ざ・ちぇんじ! 上下』
極上のエンターテイメント。この作品を一言で表すなら、こう言うしかない。
舞台は、平安時代を思わせる貴族社会。主人公は、その最高の家柄に産まれた姉弟(綺羅君と綺羅姫)。 美しく産まれ育った姉弟をめぐる上質のコメディで、設定は異なるが、シェイクスピアの『十二夜』と相通ずる双子の物語である。 一方で、成長の物語と言うこともできる。 子供は、子供であるがゆえに我儘を許される。 同時に、子供であるがゆえに保護という名の束縛を受ける。 子供だった二人の綺羅が、大人になる一歩、責任を引き受ける一歩を踏み出す。 「ちぇんじ」には、そんな意味も込められているかもしれないが、難しいことは考えず、氷室ワールドで楽しめば良いのでしょうね。 (2009年11月に書く) 集英社 コバルト文庫 1983 |