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丸谷才一著 『遊び時間』
この本は、丸谷氏の評論・書評・論争など、小説以外の文章が収録されている。丸谷氏が豊富な知識を駆使して論じる評論に圧倒される。ただ、登場する作品のほとんど全てを読んでいないのでどこまでわかっているのかはなはだ不安である。
読んでいて楽しかったのは論争だ。 丸谷氏は、論争でありながら攻めているのか妥協しているのかわからないようなことはしない。 はっきりと攻める。それは、露骨なほどで、わかりやすい。しかも、その方法は、皮肉あり、直接的攻撃あり、間接的攻撃あり、芸達者だ。 扱われている作品は未読のものが多いので、内容が妥当かどうかはわからないが、無責任な読者としては読んでいて面白い。 読者は無責任でいいのだ。論争でありながら攻めているのか妥協しているのか分からないような文章に不満な方にお薦めである。 (1993年09月/2009年09月) 中央公論社 文庫 1981 |