|
宮迫千鶴著 『ママハハ物語』
著者の宮迫さんは、2008年に亡くなられた画家・エッセイスト。
一時期、メディアによく出ていましたし、女性の新しい生き方、というか男性と女性の――おっと何で男を先にしちゃうんでしょう、こういうのも女性差別なんですかね、例えば、出席簿の順番を男女混合の五十音順にすることが新聞の話題になった時代もありましたね、差別の問題って難しいです。 さて、軌道修正。 宮迫さんは、女性と男性の新しい生き方や家族のあり方について、盛んに発言をしていらっしゃいました。 この本は、そんな宮迫さんの手によって、ひとつの家族のあり方が描かれています。 宮迫さんとパートナーの「アステカ怪人」と継子のQ太郎3人の家族生活を描きつつ、「家族とは何だろう」という素朴で複雑で、ややっこしくて、扱いにくい問題について語っています。 で、その根本問題のひとつは「血縁幻想」つまり「家族に血縁関係は必須か?」です。 宮迫さんの答えは「ノー」なんですが、異論のある人もいるのでしょうね。おそらく、この問題は、常に、問題であり続けるものなのでしょう。いずれにせよ、考える手がかりとして読む価値のある本だと思います。 (1991年01月/2009年07月) 筑摩書房 ちくま文庫 1990刊 |