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三好徹著 『五人の棋士』
勝負ごとというのは、スポーツであれカードであれ囲碁将棋……なんであれ、ひとつの目標――勝ち――に向かって二者が競う。両者が同時に目標を手にすることはない。従って、そのプロセスはひとつのドラマを生みだす。
本書には、囲碁を職業としているプロ棋士のうち、頂点を極め最高レベルで競った五人、 ――呉清源・坂田栄男・藤沢秀行・林海峰・石田秀芳(芳夫)―― が登場する。 この五人の名は、囲碁を知らない人にはピンとこないかもしれない。野球で言うなら王・長嶋・野村・山田・掛布、歌手でいうなら淡谷のり子・美空ひばり・都はるみ・山口百恵・高橋真梨子といったところか――の勝ち方と負け方を、描いている。 囲碁を知っている人はもちろん、知らない人でも人間ドラマとして楽しめる本である。 (1994年03月) 講談社文庫 1982刊 |