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佐伯胖著 『認知科学の方法』この本はふたつの点で非常にいい本だと思います。ひとつは学問という営みをするということは何をすることなのか、別の言い方をすれば学問をするときに何をしなくてはならないか、がはっきりと書かれていていろんなことが見えてきます。 もうひとつは認知科学という学問がどういうものなのかについて、佐伯氏の目を通して考えることができるという点です。 佐伯氏は私のかつての指導教官でもあり、だから褒めるのではありませんが、頭の切れる(ちょっと独特な切れ方ですが……)学者でもあります。 その人の目を通して学問について考えるというのは刺激的な経験です。 本書は、認知科学の歴史的な変遷というか、歴史の中で登場したさまざまな認知科学の学派について佐伯氏の切り方で見ていくという構成になっています。認知科学について何事かを知りたいと思う時に、道しるべになると思います。 (1991年06月) 東大出版会 認知科学選書10 1986刊 |