|
西川潤著 『人口:21世紀の地球』ちょっと、古い本ではある。そのためか、人口問題と環境問題との関連の指摘はそれほど強くはない。むしろ人口問題をめぐる神話・幻想・嘘といったものを暴いている(告発口調ではないが)。一例を挙げる。 「(前略)この点で、人口抑制論者たちはしばしば今日の開発途上国において、人口増加の問題を人口分布の問題と混同していることに注意しておこう。……(中略)……これは人口の都市集中の問題であり、人口増加の問題とは異なるのである。新マルサス主義者の人口増加にたいする警鐘はしばしば、こうした論理のすり替えの上に鳴らされていることが多い。」 全体を通じて、1983年現在での現状(事実関係と思想)とその後の予測、とるべき態度・方針といったことが中心テーマとなっている。 (1991年12月) 岩波書店 岩波ブックレットNo.22 1983 |