|
バーナード著 『ギリシア神話小事典』
同じギリシャ神話を扱った本ではあるが、山室 静の『ギリシャ神話』とは違って、読むのに努力と根気が必要である。タイトルにもあるように事典の形になっているので、初めから終わりまで読んでいくという体裁になっていないからである。しかし、参照(○○を見よ)を手繰りながら読むというのも楽しいものであるし、自分の好きな(?)神や事件を拾い読むのもおもしろい。
この本のことは、宮崎駿氏の文章から知った。宮崎氏が「風の谷のナウシカ」の漫画を書いており、そこに書かれていたコメントのなかに紹介されていて、知ったのである。その漫画が今手元に無いので正確な引用はできないが、氏の「ナウシカ」への思い入れを語っていたと思う。 本書によれば、ナウシカというのは「オデュッセウスがイタケに着く前の最後の冒険の中心人物」であり、「パイアケス人の国の王女、俊(ママ)足の空想的な乙女」であった。彼女は、難破し傷だらけで漂着したオデュッセウスを助け、「いずれにせよこの乙女は、偉大な航海者オデュッセウスの風雨にさらされた心の中に、かくべつの場所を占めていたの」だそうだ。 (1991年09月に書く) 社会思想社 現代教養文庫 1979 |