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結城昌治著 『白昼堂々』結城氏の『白昼堂々』は犯罪者の側から描かれた小説である。テーマは万引団。チームを作って役割分担をする集団万引から、商品を捌く店まで、組織してしまった万引団が主人公である。万引団を構成しているメンバーたちはひとり一人が個性を持って生きている。確かにどこか足りない人間たちなのだが、それでも一生懸命に生きていて、恋もするし嫉妬もするし、とても魅力的なのである。 警察を振り回し、捕まれば屁理屈を捏ね、最後の大勝負を打ち、喜劇的な結末へ向かうドロボウ達。是非会って欲しいと思う。 (1993年06月) 角川書店 文庫 1981 |