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井上ひさし著 『四捨五入殺人事件』

 『四捨五入殺人事件』は井上氏の推理小説もどきの作品である。

 「もどき」と書くのは、最後の謎解きのところで新しい事実が出てくるので、読者が完全に謎を解くのが難しくなっているからである(もちろん、主たるトリックは解けるかもしれないが)。

 ただ、『四捨五入殺人事件』はすぐれた娯楽作品である。本当に楽しめる。全体に二重三重のトリックがあり、読者は二度三度と騙される。それが新鮮であり、楽しい経験になる。

 主人公は地方講演に来た作家2人。豪雨のために彼らが陸の孤島の村に足留めされるところから作品が始まる。村に起こる連続殺人事件。犯人がいない。容疑は老作家にかかる。事件の真相をもう一人の若手作家が解いた時に……。後は読んで騙されて下さい。

(1993年06月)

新潮社文庫
1984


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