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クリスティ著 『クリスティ短編集 T』
紹介するまでもないのですが。クリスティは「ミステリーの女王」。
そして、推理小説の内容を説明してみせるなんて、喜劇を説明するのより、なお一層、野暮なことです。なので、この短編集に収められている作品にどんなものがあるかだけ紹介しましょう。 まず、ポワロとミス=マープルの作品。ミス=マープルの作品はTV映画としてNHKで放映されていました。 あと、パーカー=パイン氏の作品があります。このパーカー=パイン氏を主人公とする作品は私はこの短編集で初めて読みましたが、推理小説としては色合が違っていてなかなかおもしろい。作品の雰囲気は、かつてコミック=モーニングに連載されていた『代打屋トーゴー』に似ている気がしました(こう書いてわかる人がいったい何人いるのだろう)。 あと、この短編集には名作映画「検察側の証人」の小説版が収録されているのですが、結末が映画と違っていました。クリスティには戯曲版の「検察側の証人」もあって結末が違うのはどうしてか? という疑問が残ります。 (1991年04月) 新潮社 文庫 1950 |