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火曜定休でした(岡本太郎記念館



シェイクスピア著 『ウィンザーの陽気な女房たち』

 戯曲を「読む」ことは、芝居関係の人を除くと、あまり一般的ではないようです。自分が観る演劇やオペラの作品を前もって読むとか、自分が観た作品を後から読んでみるとか、そういうのは聞きますけれど……。

 もしかすると唯一の例外は、シェイクスピアでしょうか。

 『ハムレット』や『ロミオとジュリエット』をはじめとして、上演されたり(演出家の蜷川幸雄氏が全作品上演を継続中)、映画の原作(ウェスト・サイド物語は『ロミオとジュリエット』ですし、黒沢明監督も『マクベス』や『リヤ王』を映画化してます)になったり……。当然、話題になるし、全作品を日本語で読めますし(この白水Uブックス・シェイクスピア全集は、小田島雄志氏が全作品を訳しています。表現は大胆で、小田島氏の注いだエネルギーが伝わってはきます。ただ、好みは分かれるでしょう……)。

 で、これは、喜劇の代表的作品の一つ。ものすごく単純に言えば、まあ、アホな勘違い男たちが、頭の切れる女性たちにキリキリ舞いさせられるラブ・コメです。喜劇ですから当然ハッピー・エンドですが、喜劇の粗筋を紹介するくらい馬鹿らしい行為はないですから止めましょう……。

 解説によると、「シェイクスピアにはめずらしい『現代劇』である」そうで、“当時の観客にタイムリーな”笑いも満載なのでしょう。ただ、シェイクスピア作品の凄さは(これは全作品を通じて思うことですが)、“時代を超える”こと。シェイクスピアは16・17世紀の人(1564- 1616)ですが、人間の本質は400年程度では変わらないのでしょう。その喜劇は現代にも通じるのです(もちろん、演出家・役者が命を吹き込むのですけれど)。

 戯曲を「読む」楽しみはいくつかありますが、一つは演じることで、もう一つは演じさせること。前者では自分が演じるわけですが、後者では、勝手に“有名な役者”をキャスティングして、勝手に演出できるわけです。たとえば、この作品の主役の“騎士・ジョン=フォースタッフ”は有名な騎士(シェイクスピアの別の作品では皇太子の知り合いとして登場します)で、年老い、酒に溺れ、太っている、好色な勘違い男ですが、誰に演じさせたいでしょうか? 私なら、体形は何とかするとして石田純一かしらん。あと、頭の切れる女性たちの候補は多いですが、高島礼子、黒木瞳、田中麗奈……。

(2006年12月)

小田島雄志・訳
白水社


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