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星新一著 『ご依頼の件』
星新一のショート・ショート集である。
どうせ、星新一のショート・ショート集だろう? などと言ってはいけない。この本は画期的なのだ。何が? 実は、この本には解説がない。 著者のあとがきが2ページ付いているだけである。その冒頭はこうである。 「これからの私の文庫は、解説なしになる。考えてみれば、小説を解説つきで読むなど、やはり不自然だ。」 これには全面的に拍手したいと思う。 | もちろん、解説自体がエッセイとして楽しめるというものも、ないわけではない。だが、たいていの解説は、読後の余韻を損ねてくれる。 だったら解説は読まなければいいのだが、稀に、面白い解説もあるものだから、ついつい読んでしまう。で、解説を読まなければ良かったと思いつつ、本を置くことになる。しかし、無いものは読めない。 でも、文庫の解説は、何で始まったんだろう? (1993年04月に書く) 新潮社 文庫 1988 |