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筒井康隆著 『虚航船団』筒井氏が自ら最高傑作と認めている作品のひとつ。とにかく常識的な”小説”という枠組みをまるっきり超えていて、小説というものを固定的に捉えることが如何に小説というものの可能性を矮小化しているか、そしてそのことが同時に小説をの楽しみかたを如何に狭くしているかを感じさせてくれます。例えば、国語教育で主張されているような読解理論や方法論がどこまでこの作品にせまっていけるのか、興味あるところでしょう。と述べましたが、全ての読者がこのように感じるかというとそんなことはなくて、発表当時には賛否両論、喧喧囂囂であったらしい。そしておそらく今でも、「小説であると認めることは不可能だ」という人から、「小説というものの狭い枠を超えた傑作だ」という人まで、はっきりとわかれるだろうと思います。 では、どんな内容の作品なのか? 言ってしまっては、楽しみが半減。是非、読んでみて下さい。 (1991年07月) 新潮社 1984 |